児童福祉法に基づいて運営されている施設があります。
18歳未満の子どもがいる母子家庭や、離婚が困難な状況にある【母子家庭】に
準ずる状況の女性が子どもと一緒に入れる入所施設です。
以前は「母子寮」とも呼ばれていました。
母子生活支援施設とは?
母子生活支援施設は全国に272施設、
全国で4,056世帯、10,608人の利用者の方々が生活しています。
施設の運営形態は「公設公営」「公設民営」が約6割、社会福祉法人が
設置経営するなどの「民設民営」施設は約4割です。
また母子生活支援施設に勤務する職員数は1,988名となっています。
(厚生労働省「平成19年度社会福祉施設等調査報告」による)
歴史的背景は?
施設の歴史は古く、制定されたのは1947年(昭和22年)です。
平成10年に「母子寮」から「母子生活支援施設」へと名称変更されました。
児童福祉法が改正され、ただ保護するというものから自立を支援しながら
保護するという趣旨のものに変わったためです。
以前は、夫との離婚や死別によって経済的に生活が困難、母親が就労できない、
養育能力がないなどの場合にも入所できました。
現在もそのような理由で入所できないということではないようですが・・
最近では、未婚のシングルマザーやDV(家庭内暴力)、サラ金の取り立てによる
家庭崩壊など、生活困難となり精神的にも不安定になってしまった母子の利用が
急増しているそうです。
中でもDVでの入所が圧倒的に増えており、性格の不一致や夫の不倫などという
理由での入所は難しくなっているとか・・・
施設での生活は?
母子ごとに独立した部屋で施設内の備品を使い生活ができます。
施設から子どもは通学、母親は通勤できます。
6畳一間に簡易キッチンでお風呂は共同というケースや2LDKバストイレ完備など、
間取りは施設によって異なります。
また、24時間体制で支援員や少年指導員、保育士、調理員、嘱託医なども
常駐しているので、子どもの預け先の心配はなく、相談も常時可能です。
自立して退所できるよう、生活の基盤を築く計画を作り支援してくれます。
施設の子どもの年齢層
入所している子どもの年齢は就学前から小学生が半数を占めているので、放課後や
長期の休みにも対応しており、学習指導や進路相談にも応じてもらえます。
入所期間は?
入所期間に決まった期限というのはないようですが、1年未満で出る人が30%以上、
3年以内で出る人が約50%となっています。
3年間のうちに生活を立て直し、自立している人が多いということですね。
その一方、10年以上施設で暮らす人も3%程度はおり、問題の深さも窺えます。
利用方法と費用
母子家庭の相談窓口もあるので、まずは事情を説明して相談してみましょう。
住んでいる自治体の福祉課に問い合わせてください。
施設利用の費用は住民税や所得税に応じて決まるので、併せて確認しましょう。
生活保護世帯、住民税非課税世帯は本人負担はありませんが、
居室内の水道光熱費は各自で支払うことになります。
母子生活支援施設で受けられる支援
保護するだけでなく自立を支援するという目的があるため、多分野の
スペシャリストが常駐しており、母子ともに相談し支援を受けられます。
母親が受けられる支援とは?
母親が安定した収入を得られるようになることが第一に考えられているので、
養育能力がない場合には子どもとの関わり方も支援してもらえます。
●基本的な生活習慣を築くための生活スキル向上支援
●育児に関する悩み相談やアドバイス
●子どもの保育園や学校への送迎
●母親が病気などの時は、看病や子どもの保育支援
●精神的問題を抱えている場合の支援
子どもが受けられる支援
子どもは年齢や発達に応じた養育支援を受けられます。
●保育園などに入園できない子どもの保育(早朝、夜間も含む)
●病気やケガの時の保育
●宿題など学習支援、進路相談
●おとなとの信頼関係を築くための支援
●集団活動やレクリエーションを通してのグループワーク
●緊急回避としての利用も
援施設を利用する一番多いのがDV
最近では・・・母子生活支援施設を利用する一番多い理由がDVだそうです。
このため、施設では24時間受け入れを行い、「今逃げなければ!」という
緊急避難所としての役割も果たしています。
離婚が成立していない場合や、離婚しているのに前夫が家にやって来て暴力を
ふるう場合も利用できるので、緊急避難先として覚えておくと安心です。
DV被害者がどこにいるかを加害者に知られないよう配慮もしてもらえます。
心理療法も受けられるので、母子ともに傷ついた心と身体を休めることができます。
まとめ
住む場所がない、事情があって家に住めない、などで窮している方にとって心強い
施設です。
母と子がバラバラにならずにすむ唯一の施設でもあるので、困った時は支援を
もとめましょう。
実は・・私も夫が多額の負債を残して他界し、親子3人実家に帰る選択もありましたが・・
自立の道として、「母子寮」という存在を知りました。
「主人」という大樹に寄り添って活きた僅か7年の結婚生活で主人が残してくれたのは・・
1億の負債と子供2人だけが置き土産でした。
「母子生活支援施設」の恵まれた環境で3年間を過ごせたお陰で、
思いもしなかった人生の暗闇から立ち直ることもできたのです。
その後の第二の人生をキャリアウーマンとして、キャリアと収入面でも
親子3人が暮らせるまでに精神的にも自立の道を踏み出せたのも
「母子寮」という母子支援施設のお陰と思っています。
あきらめの中からは、何も生まれません!
過酷な運命も試練と受け止め、越えられない壁はないのです。
どうか・・子供の未来のために【母】として強く逞しく活きて欲しい!
一魂こめて・・・・