母子家庭になったら、お母さんが家計を支えていかなければなりません。
子どもをしっかりと育てていくためには、それなりの収入が必要となります。
そのとき生活費はどのくらいかかり、実際に子どもを抱えて生活をしていくために、
母子家庭が受けられる公的な支援を知っておくと役立ちます。
母子家庭のお母さんが困っていること、悩みなどをまとめてみました。
ひとり親世帯の悩みは?
母子世帯、父子世帯ともに、「教育・進学」が最も多く、
次いで「しつけ」となっています。
母子世帯の困っていること
「家計」が 45.8 %、
「仕事」が 19.1 %、
「住居」が 13.4 %
母子家庭全体の平均収入
母子家庭全体の平均収入は、平成23年における厚生労働省の統計資料によると、
母子家庭の収入は平均223万円です。
ここには各種の補助や養育費などの金額も含まれているため、
純粋に母親の就労による収入に限ると、平均は181万円に下がります。
仕事をしているシングルマザーの割合は80.6%ですが、
正社員の割合となると39.4%に下がります。
これに対しパートやアルバイトが47.4%と、シングルマザーの収入は、
低い上に不安定であることがわかります
理由別の母子家庭の収入
母子家庭になった理由別に見ると、平均収入が多少変わってきます。
①離婚
全体の80.8%の母子家庭は、離婚によって生まれています。
離婚が原因の母子家庭の平均収入(就労収入)は、175万円です。
母子家庭全体の平均である181万円より少し少ない数字です。
②死別
死別によって母子家庭となる割合は、全体の7.5%で、比較的少ないです。
この場合の平均就労収入は256万円となって、母子家庭全体の就労収入である
181万円より大幅に高い数値です。
夫と死別して母子家庭になった場合には、比較的高い収入を得られる人が
多いことがわかります。
③未婚の母のケース
未婚のまま子どもを産んで母子家庭になったケースは、
全体の7.8%で、死別のケースと同じくらいあることがわかります。
未婚の母の平均就労収入は、160万円となっていて、非常に低いです。
これは、未婚の母の場合、年齢が若く、就労前(社会に出る前)に
子どもを産んでしまう例なども多いことが関係していると考えられます。
母子家庭で最も多い原因である「離婚」では、年間収入が175万円です。
これを12ヶ月で割ると、1ヶ月に使える生活費は145,800円程度です。
母子家庭の平均生活費が15万円~20万円として、かなり厳しい数字ですね。
特に、子どもが多い場合には不足することは必至です。
母子家庭では、自分だけの収入で生活をまかなうのは大変難しいです。
公的支援を検討する必要があります。
母子家庭が受けられる公的支援制度・優遇措置
①児童手当
0歳から中学卒業までの子どもが対象になります。受給金額は、
3歳未満の場合には月額1万円、3歳以上の場合第1子と第2子は月額5千円、
第3子以降は月額1万円です。
②児童扶養手当
一人親の家庭が受けられる支援です。
金額は、所得に応じて変わりますが、基本の額は4万円~5万円程度です。
所得制限があります。
③児童育成手当
子どもが18歳になるまでのひとり親家庭が対象で、子ども1人について
月額1万3500円の支給を受けられます。
所得制限があります。
④特別児童扶養手当
子どもに障害がある場合に支給される手当です。
1級の場合には5万円程度、2級の場合には3万3千円程度となります。
所得制限があります。
⑤遺族年金
夫と死別した場合には、遺族年金を受けとることができます。
⑥ひとり親家庭の住宅手当
20歳未満の子どもがいるひとり親家庭で、月額1万円を超える家賃を負担している場合、
市町村から助成金を受けられます。
⑦生活保護
自力ではどうしても生活出来ない場合には、生活保護を受けることも可能です。
⑧ひとり親家族の医療費助成制度
ひとり親の場合、市町村から医療助成を受けることができます。
所得制限があります。
⑨国民年金・国民健康保険の免除
所得が少なく支払いが困難な場合、免除や減額してもらうことができます。
⑩交通機関の割引
ひとり親の場合、電車やバスなどで割引を受けられるケースがあります。
⑪粗大ごみ等処理手数料の減免
この粗大ごみ等処理手数料の減免および免除制度は各自治体単位で
行っている支援策のため、福祉に力を入れている自治体とそうでない
自治体でかなりの温度差があります。
⑫上下水道の減免
ひとり親世帯が児童扶養手当を受給している場合、水道代を減免して
もらえることがあります。
児童扶養手当(特別児童扶養手当)受給世帯の負担軽減のために、
上下水道料金などの費用の一部(全部)を減額・免除する制度です。
市区町村によって、大きな差があるようです。
上下水道全額免除のところや、全く免除のないところも。
基本料金のみ免除になっているところもあります。
⑬保育料の免除と減免
ひとり親世帯、生活保護を受けている世帯のうち住民税が非課税である世帯は、
保育料が免除されます。
仕事をして収入を得ていても、各自治体が定めた金額以下であれば、
住民税とともに保育料も免除の対象になります。
ただ、世帯全体の所得で住民税が決まるため、実家暮らしの場合は免除されず、
保育料が高くなってしまう場合もあるので注意が必要です。
ひとり親家庭の場合、年収が360万円未満相当であれば減額対象となります。
月収にすると約30万円までが減額対象になるので、アルバイトやパート勤務では
ほとんどの方が該当すると思います。
母子家庭の悩み仕事は?
厚生労働省:ひとり親世帯の悩み(PDF)
ひとり親世帯の親と末子の年齢は?
母子世帯の母の平均年齢は 39.7 歳、母子世帯の末子の平均年齢は 10.7 歳。
ひとり親世帯の悩みの2番目には仕事となっています。
子供も低学年でまだまだ・・手の離れない時期なので正規で働くには難しい現状です。
現在就業している母子世帯の母で、現在資格を有していると回答があった割合は
55.7 %(前回調査 56.9 %)となっています。
そのうち、その資格が現在の仕事に役立っていると回答した者の割合は、60.7 %
資格をもっていると就職に有利になることから、母子家庭になってから資格取得を
めざすお母さんも多いのではないでしょうか。
母子家庭に対する自立支援、就労支援の給付金事業に国も力をいれています。
それでも、母子家庭の貧困率が50%を超えているという現在の状況です。
母子家庭自立支援給付金および給付金事業
収入や福利厚生など将来性を考えると、パートやアルバイトではなく、
正社員として働けることはとてもありがたいのです。
将来的にずっと稼いでいこうと思えば資格をもっていることは強みです。
母子家庭のお母さんを支援する二つの給付金をみていきましょう。
自立支援教育訓練給付金
母子家庭のお母さんが自立を目的に適職につくための能力開発や
資格取得を支援するものです。
(雇用保険法による教育訓練給付の受給資格を有していないこと)
職に就くために必要と認められた指定講座(厚生労働大臣指定教育訓練講座)を
受講した場合に給付が受けられます。
受講開始前に、担当窓口相談員への事前相談をしなければ対象講座の指定申請も
できないようです。
自分が行きたい講座を、勝手に決めることは出来ないようです。
雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座
ほとんどの講座は4月から始まり、1年から3年通学することになります。
地方に住むお母さんにはかなりハードルが高いのですが・・・
受講終了後(資格取得後)に受講料の一部が助成されますので、
まずは自分が受講料を全額負担しなければなりません。
受講のために本人が教育機関に支払った額の20%が助成されます。
ただし、上限は10万円までで、4千円に満たない場合は支給されないようです。
指定講座の受講料が70万円かかったとしても、給付金は10万円ですね。
通学費用もそれなりに必要となれば、金銭的にかなりきびしいのではないでしょうか。
高等職業訓練促進給付金等事業
母子家庭のお母さんが就業に結びつきやすい資格を取得するために、
2年以上養成機関に修業する場合、その期間中の生活の不安を解消し、
安定した修学環境を提供するために、高等職業訓練促進給付金及び
高等職業訓練修了支援給付金が支給されます。
※看護師、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士等(全て国家資格)
高等職業訓練促進給付金
支 給 額 : 月額100,000円 (市町村民税非課税世帯)
月額 70,500円 (市町村民税課税世帯)
支給期間 : 修業期間の全期間(上限2年)
(平成25年度入学者から)
高等職業訓練修了支援給付金
支 給 額: 50,000円(市町村民税非課税世帯)
25,000円(市町村民税課税世帯)
支給期間 : 修了後に支給
月々これだけの給付金があれば、金銭的にはかなり心強いです。
しかし、子どもがまだ小さければ、面倒をみてくれる親の援助がないと時間的に
かなり難しいかもしれません。
お母さんの学ぶ姿勢と努力が必要になることは間違いないでしょう。
資格を持っている母子家庭のお母さんの状況
厚生労働省の平成23年度全国母子世帯等調査結果報告によると、
現在就業している母子家庭のお母さんのうち、
資格をもってる方は55.7 %となっています。
半数のお母さんはなんだかの資格をもっていらっしゃるようです。
そのうち、その資格が現在の仕事に役立っていると回答したお母さんは、60.7 % と、
前回調査(5年前)と比べると、15.9 %減少していることがわかります。
『役に立っている』と回答があった60%のかたの資格を種類別にみてみると、
「作業療法士」が 100 %と 最も高くなっています。
資格を取得した、もしくはもっていたお母さんは、作業療法士の資格を100%いかして
職につけているということは素晴しいことです。
次いで「准看護師」が 96.4 %、「介護福祉士」が 95.8 %、
「看護師」が 87.8 %の順とな っています。
准看護師をのぞいて、すべて国家資格です。
やはり同じ資格でも国家資格をもっていることは、職に就くにしても、
収入面においてもかなり有利だということが伺えます。
老人社会を迎えるこれからは、医療・介護関係は地方でも人材不足のため、
就職しやすい面もあるとも言えます。
まとめ
母子家庭のお母さんの55%が何らかの資格をもち、そのうちの60%のお母さんは
仕事に役立てているということになります。
45%の母子家庭のお母さんは、資格はもっていない、資格をもってはいるけど
40%の母子家庭のお母さんが、仕事にいかすことができていない・・・・
母子家庭の貧困率50%に関係してるのかもしれません。
自立支援制度を上手く活用して将来のために資格を持つことは大きな資産と安心を
生み出す力にもなります。
仕事には活かしきれてはいませんが、私もヘルパー1級職を保持しています。
これも公的機関の職業訓練から修得しました。
実務を積めば「介護福祉士」の道もあります。
資格があれば後々仕事への不安も解消できるので挑戦して取得されることを
おすすめします。
一魂こめて・・・