給食費未納で給食停止?母子家庭では給食は子どもの食生活のセフティネット

2018年11月16日

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昨年、埼玉県北本市の公立中学校が給食費を3カ月以上滞納する家庭の生徒に対し

給食の提供を中止すると報じられました。

これに対し、世間の反応は「保護者のモラルが欠如している」といった

批判が相次いだようです。

果たしてこの裏側にはどのような問題が隠れているのでしょうか?

給食費未納と子どもの食生活格差

今年、三重県鈴鹿市の教育委員会が野菜の高騰により給食を2日間中止するとの方針を示し、
その後撤回すると報じられました。

 

また大阪市では給食費の滞納分を弁護士が回収し、回収額に応じた出来高制で
報酬を支払う制度が11月から実施されるなど給食費未納が問題化しています。

 

鈴鹿市のケースは、保護者や児童がいかに学校給食を頼りにしているかを
示しています。

 

全国の公立中学校では未だに主食、おかず、ミルクの揃った完全給食が
実施されていない地域が2割ほどあるそうです。

 

小中学校共に給食のある地域で、私も育ったので、給食が実施されていない
中学校が2割もあると給食費未納 子どもの貧困と食生活格差 (光文社新書)
本書で知り驚きました。

 

しかも、本書によれば給食のない地域の子どもたちの中には、朝食を家で食べず、
昼食のお弁当も持参していない子どもも少なくないそうで・・・

 

成長期で一番お腹が空くはずの中学生がどのような食生活を送っているのか
とても心配になりました。

 

弁当を持たせない保護者は昼食代として数百円のお金を渡し、子どもは給食並みに
栄養の整ったお弁当を買うかわりにスナック菓子などで表面上お腹を満たす
可能性があるようです。

 

昼食代も渡していないケースもあるそうです。

 

パートに出ているお母さんも多く、お弁当を用意することは難しいのが実情で、
夏季は弁当がいたみやすいなどの問題もあります。

デコ弁

その一方で、デコ弁に代表されるような手の込んだ弁当を作る保護者もいて、
食生活格差が大きくなっているのではないかと考えられています。

 

勉強はもちろん健康面への影響が心配です。

給食滞納の家庭に給食停止?

 

2015年には、埼玉県北本市の公立中学で給食費未納が3カ月続いた場合に
給食を提供しないと決定、未納家庭に通知したという報道がありました。

ネット上には、次のような保護者のモラルを非難する意見が多く見られます。

「給食費不払いの家庭はごく少数だと言われていますが、
裕福でベンツに乗って携帯電話の支払いが一月に7万円—-
支払能力があるのに払わないのが問題なのです」

「滞納者の急増が言われていますが、中には裕福な家庭もいるって話です。
生活苦で出せないなら、その様な人だけを対象にした、
補助金や貸し出しなどの制度を設ければいいと思います。
誰にでも分け隔てない支給は意味が無いと思います」

 

「本当は払えるのに払わない」や「モラルが欠如している」などという批判が
ネット上を中心に巻き起こりました。

 

このようなケースは実際には多くはないと思いますが、
見た目だけで、その家庭の事情がすべてわかるわけではありません。

 

経済的に困窮している家庭では、家計管理が上手く出来ていないケースもあったり・・・

 

生活保護や就学援助制度を受けているケースでも家計管理の問題があります。

就学援助制度とは、経済的理由で就学が困難な小中学生の保護者に、
市町村が給食費や学用品費、通学費、修学旅行費、一部の医療費に当たる
現金給付を行う制度です。

そうした援助は数カ月分まとめて支給されることが多く、支給時には、給食費を払ったり、
必要なのに普段買えないものを買ったりできます。

 

しかし、家計管理が上手く行えない家庭では、まとめて支給されるお金で無駄遣いをして、
次の支給まで計画的な支出が出来なくなってしまうこともあります。

給食費滞納の割合は?

実際に給食費を滞納している割合は、全国平均で0.9%と決して高くはないのです。

本来、給食費を「払う・払わない」というのは、滞納している保護者と自治体との問題なはずです。

ところが、結果として不利益を被るのは子どもです。

 

そういう給食費を滞納する保護者の子どもだから、家族責任で子どもが不利益を被るのは
仕方がないといった意見があまりに強調されすぎているような気がします。

 

実際に未納問題が生じるということは、生活保護や就学援助といった制度が上手く
機能していない面があると考えられます。

日本の福祉は申請しないと保護されない

日本の福祉は申請主義ですから、保護者が生活保護や就学援助制度を自ら申請しなければ
保護されるべき世帯が漏れていることも多々あるのです。

 

制度や申請方法を知らずに、保護されるべき世帯が漏れている!

 

実際には就学援助に関し、学校長の所見により認められるケースもあるにはありますが、
どの程度実施されているかは自治体次第なのです。

 

特に保護者が経済的な問題を抱えている自営業者の場合、
就学援助を受けようにも課税証明を出せないケースもあります。

 

課税証明を取得するために自治体に申告すると、国民健康保険料などの
督促があるのではないかと恐れているためです。

生活保護や就学援助の地域差は?

小さな町や村は小さいコミュニティなので、外聞を気にして
生活保護申請をためらいがちです。

 

就学援助すらも難しいと聞きます。

 

例えば・・被災した石巻市では、被災前、就学援助を受けている割合が13%で、
給食費の未納も200件ほどあったそうです。

 

しかし、被災後、被災児童生徒就学援助事業が開始されると、受給割合が40%まで増え、
未納は100件以下に下がったそうです。

 

被災前は、それだけ就学援助を受けるハードルが高かったということです。

 

こうした援助を受けるハードルが高い小さい町や村をはじめ、最近になって全ての子どもに対し
給食の無償化を導入する自治体が増えています。

その数は全国で約2割にものぼります。

 

誰かを特別に支援するのが難しい小さな町や村を中心に、子育て支援の枠組みで、
給食費や保育料の無償化が少しずつ進んでいます。

給食費未納を防ぐには?

そもそも・・・義務教育は無償と憲法でうたわれています。
給食を全ての児童に無償で提供すべきだと言う声も多々あります。

 

実際には、ベンツに乗って滞納をする人がいる一方、
お金がなくて払えない人も確実に存在する経済的な困難を抱えながらも、
支援を受けることに心理的抵抗を覚えてしまう場合も少なくないのです。

 

本当に目を向ける必要があるのはその部分ではないでしょうか?

 

そのような状況下で直接的な影響を受けるのが子どもたちです。

 

給食費だけに限った話ではなく、未納家庭は、母子家庭などひとり親家庭が多く、
学校の給食費の未納・滞納率以外に、保育園の保育料の未納・滞納などの問題も
絡んでくるというのです。

 

たとえば東大阪市の保育料の滞納調査結果によると、保育料滞納世帯の39パーセントが
ひとり親世帯だったそうです。

給食費を払えないお母さんを想像してみましょう。

給食の支払いが3か月遅れて、担任の先生から電話がかかってくる。

 

そのときお母さんは先生から叱られないか、子どもの給食費も払えないなんて
恥ずかしい、母親失格と感じています。

 

給食費が払えないなど、夫にも実家の父母にも相談できるはずもなく、
一人で悩み続けます。

 

しかも消費者金融、クレジットカードなど他にも複数の支払いがあると、
なにからどう手を付けてよいのか混乱して、家計の収支を把握できなくなっています。

 

ある女子中学生は、お弁当を作ってもらえないし買えない、
昼食の時間はトイレに隠れている。

別の中学生は、友達から少しずつ分けてもらったり、給食の時間は机に伏して
寝ているふりをしたりしている。

学校の先生もどうしていいか分からないと、
ある先生は見かねて子供にお昼御飯の代金を渡している。

 

親御さんが心を病んでいて食事の支度ができない、夕食もスナック菓子という家庭もある、とても弁当を持っていくことはできないだろう。

現在、子どもの医療費を無償化している自治体は増えています。

この金額と給食費無償化の金額は同じくらいと考えられます。

給食は子どもの食事のセフティネット

1950年代前半(昭和20年代後半)、「欠食児童」が国や地方行政の
支援の対象となった時代がありました。

日本には今も、十分な栄養を確保できない「欠食児童」が存在するのです。

高度成長とともにこの言葉は忘れられていきましたが、「欠食児童」は現在も
大きな社会の問題のようです。

給食は子どもの食事におけるセーフティネット(最悪の事態から保護する)に
なっているのです。

それを親が払う、払わないで左右され、子どもに辛い思いをさせるのは非常に良くない!

遠足や運動会など給食がない学校行事の際、弁当を持ってこられないため欠席する
子どももいるそうです。

給食のない夏休みに、昼食を食べられないために体重が減る子どもがいます。

こうした事態を防ぐために、埼玉県越谷市では希望者のみですが、
夏休み期間中に学童保育で夏休みの給食センターを活用し給食を提供しています。

 

2013年に成立した「子どもの貧困対策法」に基づき、
2014年に閣議決定された国の方針「子供の貧困対策大綱」のなかでも、
「子供の食事・栄養状態の確保」が重点施策のなかに位置づけられているといいます。

まとめ

子ども給食

今後、子どもはさらに減少します。

そうなると現在の給食施設の供給可能量は余るので、給食を高校生まで拡充し、
それでも余るようならば、地域のひとり暮らしのお年寄りにまで伸ばし、
地域の食堂をセーフティネットとして設置する仕組みも良いのではないでしょうか。

 

給食のない中学校においてすら、朝食を食べずに登校する生徒は少なくないそうです。
しかも、朝食を食べていない生徒ほど弁当を持ってこないとか・・・

 

成長期に十分な栄養が確保できないため、勉強に身が入らなくても当然です。

十分に栄養がとれず、その後の健康的な生活にかかわるような状況から子どもを
守るための学校給食も、広い意味における社会保障に違いありません。

給食は、子どもの貧困に対して、食事という現物を支給する制度として有効です。

今日においても、なお経済的な理由によって生じる子どもの食生活の格差は大きく、
学校給食という公共食には、その格差を縮小する機能があります。

そのため、むしろ滞納を、福祉による支援が必要なシグナルとしてとらえる
必要があるようです。

こども食堂を運営している方に話を聞くと、やんちゃな子どもに温かい物を
食べてもらうと、普段ジャンクフードが多いのか、みんな顔が穏やかに
なるとも言います。

食事は活きる糧、生活のエネルギー源です。

母子家庭だった我が家にとって、学校給食は子どもの食事の
セフティネットになっていました。

給食費を払う、払わない、払えない!

そのような状況下で直接的な影響を受けるのが子どもたちです。

給食費無償化には強く賛同しますが・・・・

今一度・・・給食費未納については考えてみてくださいね。

一魂こめて・・・

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