多くの先進国における高齢者の定義は65歳以上となっているようです。
しかし・・・この定義の医学的な根拠は乏しいとも言われています。
現在わが国においては、65~74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼ばれています。
前期高齢者の人びとは、活動的な人が多く、高齢者扱いをされることに対する
違和感を覚える人も多いのです。
高齢者の定義とは?
高齢の線引きは曖昧で主観的な部分があるが、国際連合の世界保健機関の定義では、
65歳以上の人のことを高齢者としており、また、定年退医療制度における規定職者
もしくは老齢年金給付対象以上の人を言うことも考えられる。
日本では一般的に、0~19歳を未成年者、
20~64歳を現役世代、65~74歳を前期高齢者、
75歳以上を後期高齢者とされる。
実際、内閣府が最近行った国民アンケート調査でも、
「何歳以上を高齢者とするか」という問に、
70歳以上、75歳以上とする回答が多く、80歳以上とする回答が
5年前に比べ大幅に増加しているのです。
国連においても高齢者の定義付けはなされていないが、60歳以上を高齢者と
することも認められており、例えば中国やブラジルにおける高齢者の定義は
60歳以上となっている。
年齢には暦年齢と生物学的年齢があり、この2つの年齢は同じではないと
されているが、高齢者の定義には暦年齢が使われている。
単身世帯の増加と独居老人
ひとり暮らしが増えています。
増えているのは、若者の一人暮らしではありません。
高齢者や中年層のひとり暮らしです。
少子化や核家族化、高齢化などで、ひとり暮らしの高齢者が増加傾向にあります。
単身世帯は、必ずしも家族のいない人ではありませんが、同居人がいないという点において、
生活上のリスクへの対応力が弱くなっています。
私も、単身世帯の高齢者になるのですが・・・
独居老人600万人、孤独死年間3万人の衝撃!
団塊世代の高齢化が進み、子どもと離れて暮らす夫婦が連れ合いを亡くして
ひとり暮らしとなり、やがて気づかれず一人亡くなる・・・・
そんなケースも珍しいものではなくなってきています。
世代別で見ると、60代以上の高齢者世代が8割以上を占め、40~50代の中年世代が
約2割となっています。
孤独死が女性よりも男性の方が多いという実態は、報告書においても
明らかにされています。
単身世帯の増加の要因とは?
これまで日本では、結婚をして子どもがいる世帯を「標準世帯」と呼び、
生活上の様々なリスクに対応してきたのです。
単身世帯の増加の実態とその要因、社会としての対策は?
我が身のことでもあり、とても興味深いことなので・・・
いろいろ考えながら書いてみたいと思います。
以前は、地域における近所付き合いなども活発に行われていましたが、最近では・・・
こうしたつながりや、家族関係ですら希薄なケースが都会を中心に増えてきて、
孤独死の数も増加傾向にあるのが現状のようです。
増えている高齢者のひとり暮らし
一人暮らしの高齢者は年々増加しています。
65歳以上の一人暮らし高齢者は、男女ともに増加傾向にあります。
内閣府 の「平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(全体版)」によると、
1980(昭和55)年には、男性が約19万人、女性が約69万人、
高齢者人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、
2010(平成22)年には、男性が約139万人、女性が約341万人、
高齢者人口に占める割合は男性11.1%、女性20.3%という【参考】内閣府
「平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(全体版)
結果になっています。
中でも最も比率が大きいのは、配偶者と死別する確率の高い75 歳以上の高齢女性です。
さらに、国民の3人に人1が65歳以上になるといわれている2025年には、
男性が約230万人、女性が約470万人、高齢者人口に占める割合は男性14.6%、
女性22.6%にまで増加する見込みだそうです。
一人暮らし高齢者の実態
高齢者のグループ活動への自主的な参加状況は、内閣府 の
「平成28年版高齢社会白書(全体版)」によると、
1993(平成5)年以降増加傾向にあり、2013(平成25)年には、
60歳以上の人の61.0%が何らかのグループ活動に参加したことが
あるという結果となっています。
活動内容は、「健康・スポーツ」が33.7%、「趣味」が21.4%、「地域行事」が19.0%と
特に近年「健康・スポーツ」の増加が増えているようです。
人との関わりは?
高齢者の他60歳以上の高齢者の場合、「付き合っている」(「よく付き合っている」と
「ある程度付き合っている」の総計)と答えた人は、
女性80.7パーセントに対して
男性73.8パーセントとなっているのに対して、
男性のほうが他人との交流が少なく、頼れる人がいないという傾向が読み取れるのです。
高齢者がひとり暮らしする理由とは?
なぜ?・・・高齢者がひとり暮らしをする状況になるのでしょうか?
60歳以上の単身高齢者の場合、「別居の家族・親族」が
66%の方はいらっしゃるようですが・・
「いない」と答えた人が12.3パーセントも存在しています。
何らかの理由で家族と別居している高齢者の中には、
困ったときに頼れる人がいない人もいらっしゃるのです。
私も「いない」と答える枠になりますねぇ~~
今の生活に不満がない
「経済的な暮らし向きに心配がない」と答えた高齢者は約7割という結果だったようです。
多くの高齢者は現状の経済的な暮らしに満足し、このまま一人暮らしを続けても良いと
感じていらっしゃるようだとも・・・
その中でも80歳以上の高齢者は、80.0パーセントと非常に高い割合になっています。
また、高齢者世帯の平成25(2013)年の年間所得は300.5万円で、
全世帯平均の528.9万円と比較すると半分程度です。
しかし、世帯人員一人当たりで見てみると192.8万円であり、
全世帯平均である205.3万円と比較してもそれほど大きな差はありません。
住まいに関しては、60歳以上の高齢者の約8割が現在の住居に満足している
という結果が出ています。
持ち家で79.1%、
賃貸住宅で56.6%
自分の住まい環境に満足している人の多くは、持ち家に住んでいらっしゃるようです。
ちなみに・・・・
65~74歳の男性で52%
女性で53.1%
75歳以上の男性で58%
女性で60.6%
年齢が上がるほど高くなり、半数以上の高齢者は現在の居住環境に不安を感じて
いらっしゃらないことがわかります。
歳とともに住み慣れた環境が一番安心場所なのかもしれませんね。
高齢者のひとり暮らしが引き起こす問題?
高齢者のひとり暮らしには、認知症の進行によって引き起こされるトラブルや、
孤独死などの問題がつきまといます。
ひとり暮らしの高齢者は、同居する家族がいないため、もともと友人がいない、
近所・地域との付き合いがないという状態であれば孤立しやすくなります。
とくに男性は、現役時代に近所づきあいや地域活動に参加するケースは少なく、
定年退職後に孤立しやすい傾向があります。
核家族化が進み、高齢者のひとり暮らしが増えていること、平均寿命が延び、高齢者が
ひとりで暮らす期間が長くなっています。
認知症の進行
ひとり暮らしの高齢者が認知症にかかると、地域の約束事を守れなくなったり、
近所の住人とトラブルになることが懸念されます。
症状の悪化に伴いごみ出しのルールを守れなくなったり・・・
悪いことと認識できず大声で騒ぎ、騒音の苦情が発生したりすることがあったり・・・
最悪の場合、今住んでいる部屋からの退居を余儀なくされたり・・・
犯罪に発展したりするケースもあるため、認知症高齢者を一人きりで生活させるのは
問題が大きいと言われています。
さらに2025年には、認知症高齢者は400万人で、37.2パーセントの高齢者が
一人暮らしになると予測されているため、一人暮らしの認知症高齢者は約150万人にも
及ぶ見込みだそうです。
孤独死
高齢者の一人暮らしを考える上で、孤独死もまた避けられない大きな問題の一つです。
東京都福祉保健局 東京都監察医務院が行った調査結果
「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計」によると、
東京23区で65歳以上の高齢者が孤独死した数の推移は、
2003(平成15)年は1,441人であるのに対し、
2012(平成24)年は2,727人と、およそ倍に増加しています。厚生労働省
「認知症高齢者の現状(平成22年)」
高齢者のひとり暮らしを支えるには?
ひとり暮らしの高齢者には周囲のサポートがとても重要です。
そのために、身近な家族や社会ができることは何でしょうか?
家族ができることの一番は、やはり「一緒に暮らすこと」!
今の時代なかなか・・・難しい問題でもあるようですが・・
家庭があったり、仕事があったりという理由で、
同居が難しい場合が多いのではないでしょうか?
認知症がある高齢者は、腐っているものを食べてしまったり、
暑くてもエアコンを使わずに脱水症になってしまったりとか・・・
そのような事態を回避するには、介護施設や訪問介護などのサービスを利用して、
介護の専門家が毎日、あるいは定期的に接触するような状態をつくることが大切です。
高齢者が元気に動けるうちは、働くことで社会との接点を持つことができます。
身体的な事情でそれが難しいようであれば、サークルやボランティア活動、自治体といった
グループ活動に参加することで元気にいきいき暮らせる活動事業も立ち上がっています。
社会ができること
高齢になっても働けるように、国や社会にも高齢者を積極的に雇用する動きが出ています。
厚生労働省の「平成28年『高年齢者の雇用状況』集計結果」によると、2016(平成28)年における
65歳以上の常用労働者数は増加傾向にあります。
65歳の定年制を廃止した企業の数は、従業員数31人~300人規模の「中小企業」で
3,982社(前年より137社増)、従業員数301人以上規模の「大企業」で
82社(前年より17社増)という結果が見られます。
また、66歳以上の継続雇用制度を導入した企業の数においては、
中小企業で7,147社(前年より633社増)、大企業で297社(前年より52社増)、
70歳以上まで働ける企業の数は、中小企業で30,275社(前年より2,281社増)、
大企業で2,203社(前年より246社増)という結果になっています。
雇用以外では、住民同士がお互いに助け合える地域づくりを行うために、
2012(平成24)年の介護保険法の改正から、「見守り」などの生活支援実施が、
国や地方公共団体の責務として規定されています。
今後ますます高齢化が進むと予想されることから、見守りサービスや介護施設の種類と
数を充実させていく必要がある時期のようです。
ひとり暮らしをしている高齢者が社会との接点を持ち続けられるよう、
グループ活動を行いやすくするための体制や環境作りも課題のようです。
まとめ
地域や民間の見守りサービスには、郵便や荷物の配達員が高齢者の家に立ち寄って
声掛けしてくれるものや、カメラやセンサーなどを使用して、異常事態が起きた場合に
検知してくれるタイプなど、さまざまな種類があるようです。
しかし、こうした見守りサービスも、できることには限度があります。
私は・・・・
自分のことが自分でできない状態になった時は、
自分らしく暮らせる高齢者施設にゆきたい・・と決めています。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった高齢者住宅であれば、
専門の介護スタッフが常に高齢者の健康管理等を行ってくれるため、
孤独死というリスクを大きく下げることができます。
レクリエーションや体操、趣味のサークル活動などを行える施設もあり、
社会との接点も持ちながら、身体的にも精神的にも健全に自分らしく過ごすことができます。
子どもたちと孫に囲まれ一緒に暮らせるのは理想ではありますが・・・
なかなか厳しい現実でもありますね。
一魂こめて・・